「はな」ちゃん、病院デビュー。
「はな」ちゃん、って名前にした。鼻がちょっと長いでしょ?



しばらく前、こんな夢を見たんだ。

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「くちびると、空と、花と・・・」

今日、自分が死ぬ夢を見た。私は身体のどこかに被弾して、致命傷を負っていた。自分が死ぬことはわかっていたが、不思議な「多幸感」があって、砂浜を海に向かって一歩一歩、歩いていく。沖縄の海ではなくて、高速道路の高架橋の下の作り物のビーチ、たぶん、西宮の阪神高速湾岸線。対岸に、都市のイルミネーションが見えたから。私の故郷なんだけど、そこにはじめて行ったのは震災の後だった。

聞いたことのない音楽が聞こえてくる。「くちびると、空と、花と・・・」、植民地時代の上海租界のポップスみたいなメロディー。

犬も猫も含めて、「私たち」の身体の体液は、海水と同じ浸透圧を持っている。「海」に由来する生物である証だ。何億年か何十億年か忘れたが、ストロマトライトという藻類が、初めて光合成の能力を獲得し、その産生した酸素は、まず、海水中の鉄イオンを酸化し赤鉄鉱の鉱脈を作った。さらに余った酸素は大気中に放出され、生物が地上に進出する根拠を作った。そのときから地球の大気の組成は、変わっていない。300年ほど前に、プロテスタント・カルバン派という「原理主義者」が現れて、「勤勉」と「富の蓄積」を「神」に祭り上げるまでは・・・。

「資本主義を打倒する」革命派だったはずだ、私は。次第に遠のいていく意識で、自分が十分に「革命的」であったかどうか、振りかえってみた。生きている必要のない犬猫を抱えて、それらに食事を与えるだけのために働く、マクロ的には「無価値」な自分がいとおしく、目を覚ました私は、二十数匹の犬猫を、一匹一匹抱きしめてみた・・・。

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犬の飼い主になるには、猫とは比較にならない「責任」が伴う。かつて日本でも、現在も熱帯地方の国々では猛威を振るっている「人獣共感染症」狂犬病の予防接種が法的に義務付けられているからだ。



私は、猫の飼い主としては非常に優秀だと思う。22匹の猫すべてに「5種混合ワクチン」を毎年きちんと接種させている。こんな飼い主は普通、いない。猫好きは、猫は何もしなくても「適当に」生きていく、と信じ込んでいる人が多いから、怠惰、と相場が決まっている。

猫は何もしなくても「適当に」生きて、は、決していかない。「猫は飼い主にその死に姿を決して見せない」みたいな、「言い伝え」があるでしょ?もちろん「飼い主」の勝手な、ロマンチックな「解釈」なのね。えっと、「ロマンチック」は大概「勝手」なものだから、同義反復ですね。

猫は身体が弱ってくると、ほかの猫や人からの攻撃を避けるために、ひっそりと物陰に隠れる。「死に場所を探しに行った」と「飼い主」が解釈しているのは、とりもなおさず、その「飼い主」が、猫が安心して「隠れる」ことのできる場所を提供していなかった、ことを意味する。

うちのベランダで、何匹もの野良猫が息を引き取った。彼らがここを、「死に場所」として選んでくれたことを、私は少しだけ、誇りに思っている。

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でも、犬の飼い主としては、サイテーなのね。名護の東海岸、汀間(ていま)の野良犬だった「シロ」ちゃん、うちで引き取っていたが、2年前、吐血して入院したあと、元彼女が引き受けてくれて、去年なくなった。犬は体重に対して足が弱いから、衰弱すると起き上がれなくなる。寝たきりの犬の糞尿の処理と、食事の世話を、私にはできた自信がない。



猫は相対的に体重が小さいから、足腰が立たなくなる前に、ほぼ間違いなく、死ぬ。だから、「ターミナル・ケア」は明らかに犬の方が大変だ。

私も「人の子」であるから、親がいる(いた)のね。父親は7年前に死んだ。その3年ほど前かな、私が京都の土木系の会社で月間残業100時間、みたいなよくある暮らしをしてたころ、脳梗塞で倒れた。仕事を半日だけ休んで病院に面会に行き、車椅子を押して、「孝行息子」を演じた。
車椅子の背にだらしなく寄りかかったこの男の首筋を眺めながら、改めて、私は、この人を「少しも愛していない」ことを確認した。

さいわい、ほどなく大阪に引っ越してくることになった姉に、父親のすべての介護を任せて、私は、沖縄に「隠遁」することができた。

愛・す・る」ということは、その糞尿と吐瀉物のすべてを、そして死体を、「引・き・受・け・る」ことができる、ということだ。



「ぺぺ」ちゃんは、この「はな」ちゃんと同じ公園に、六年前に、段ボール箱に入れられて、捨てられていました。で、私が、どうしていけない飼い主かというと、9種混合ワクチンも、狂犬病ワクチンも、フェラリア予防薬も、この3年くらい、ぜんぜんやってない、・・・・・ほんとごめん、「鬱」のせいとかにしてもきたんだけど、「はな」ちゃん到来とともに、心を入れ替えることにしたからね。
だから、ぺぺもハナも、来年の四月には、ちゃんと予防接種もして、鑑札をつけて、「合法的存在」となって改めて「公園デビュー」しますからね。

で、血液検査の結果、ぺぺもフェラリア陰性だった。よかった。



この写真はね、その6年前、ぺぺ拾ったとき、あるボランティア団体が「里親探し会」みたいなのを企画してくれたとき、「ジャスコ那覇店」の前の芝生で「展示」されてる、「ぺぺ」と姉妹の「ベティ」ちゃん。新聞に載ったの。

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