• 「エネルギー」、「仕事」、「熱」
    • 今は目に見えないけれど、あとから、ものにダメージを与えることのできる潜在的な能力、のことを、「エネルギー」と呼んでいる。
      「エネルギー」にはさまざまな形がある。
      • 重力による位置エネルギー:高いところに置いてあるものは、それだけで、危ない。もし、落ちてきたら、そこにあるものが壊れるじゃないか!
      • 運動エネルギー:動いているものは、止まっているものよりも、それだけで、危ない。もし、ぶつかったら、止まっているものにぶつかった場合より、ダメージが大きいじゃないか!
      • ・・・
    • 「エネルギー」は形を変える。
      • 化学反応によって電子が移動すると、「電気的エネルギー」が発生する。これを、「化学的エネルギー」が「電気的エネルギー」に形を変えた、という。
      • 電子が物体の中を移動すると、まわりの物体と相互作用をして、「熱」や「光」が発生する。これを「電気的エネルギー」が「熱エネルギー」や「光エネルギー」に形を変えた、という。
      • 電子の作用は、物体の動きを作り出すことができる。これを「電気的エネルギー」が「力学的エネルギー」に形を変えた、という。
      • 物体に熱が加わると、物体を構成する粒子(原子、分子)の運動が激しくなる。物体の形が変形して、これを動きに変えることができる。「熱エネルギー」が「力学的エネルギー」に形を変えた。
      • 太陽電池では、「光エネルギー」から直接電子の動きを作り出し、「電気的エネルギー」に変えている。
      • 緑色植物は光合成をして、太陽の「光エネルギー」を糖という化学物質の結合の中に閉じ込めている。「光エネルギー」が「化学的エネルギー」に変わった。
      • 動物は、その植物が作った「化学的エネルギー」を食物として取り込んで、「力学的エネルギー」や「熱エネルギー」に変えて、生きている。
      • ・・・




    • 形を変えているけれど、本当は、同じもの、なのならば、それらは、
      1. 同じ単位で測ることができ、
      2. 互いにどんな割合で、変換できるかを、計算できなければならない。
      「エネルギー」の単位
      [J=N・m]
      (ジュール)

      「力」の単位
      [N=kg・m/s2]
      (ニュートン)

    • ニュートンが発見した「運動の法則」は、物体に力が加わると「加速度[m/s2]」が発生する、というものだ。
      地球上の物体にはすべて地球の「重力」という力がかかっていて、それによって発生する加速度は、地表面付近では常に9.8[m/s2]なのだ。
      これを重力加速度と呼び、gと書く。
      1キログラム[kg]の物体には常に9.8[m/s2]の加速度が発生しているわけで、(だから、手を離せば、物は、落ちる!)その力を、いちいち9.8kgm/2などと書くのは面倒なので(!)、1[N]と書くことにした。
      「質量」m[kg]の物体に作用する「重力」は
      mg
      単位は[N]



  • 「仕事」の定義
    • [J]という単位のつくりを見ればわかるように、
      「エネルギー」の単位
      [J=N・m]
      (ジュール)

      「仕事」の定義
      「力」×「(その方向の)移動距離」

    • では、これを使って、「重力による位置エネルギー」を計算することができる!

      重力による位置エネルギー:高いところに置いてあるものは、それだけで、危ない。もし、落ちてきたら、そこにあるものが壊れるじゃないか!

      では、誰がいったいそんな高いところまで運んだのだ?
      誰かが、「重力」に逆らって仕事をして、それが物体に蓄えられて、「エネルギー」となった!、だから、
      「重力による位置エネルギー」
      mgh
      単位は[J]、hは高さ[m]

    • 「運動エネルギー」は、もう少し複雑な計算になるが、やはり、

      運動エネルギー:動いているものは、止まっているものよりも、それだけで、危ない。もし、ぶつかったら、止まっているものにぶつかった場合より、ダメージが大きいじゃないか!

      これも誰かが仕事をして、そんな速度にまでしてしまったからだ!
      「運動エネルギー」
      mv2
      単位は[J]、vは速さ[m/s]

  • (力学的)エネルギー保存則
    1. 重力による位置エネルギー:mgh
      質量m、基準面からの高さhに比例する(比例係数を「重力加速度」gという)
    2. 運動エネルギー:mv2
      質量m、速さvの2乗、に比例する
    • 「外部」との他のエネルギーのやり取りがないときは、i,iiの合計は一定である
    • 「外部」の例:動摩擦力による「仕事」
      • 動摩擦力μ'mg(質量mに比例)
      • 「仕事」=「力」×「距離」
      動摩擦力のした「仕事」は、「熱エネルギー」となって、まわりの空気の分子の「運動エネルギー」などに形を変えて、どこかへいってしまう。だから「保存」されない!


























      【例題】
      • 摩擦のない場合
        1. 斜面に沿って一定の力F[N]を加えて、質量m[kg]の物体をBからAまで引き上げた。AB間の距離をl[m]とすると、
          その「仕事」[J]の大きさは?
        2. その「仕事」は、A点で手を離したとき、何に変わった?
        3. A点からB点に移動する間の、「重力による位置エネルギー」、「運動エネルギー」、「力学的全エネルギー」の様子をグラフに表せ。
      • 摩擦のある場合
        1. A点まで持ち上げてから手を離す。
          B点に滑り降りるまでに動摩擦力はμ'mgcosθという一定の値になる。
          AB間の距離をl[m]とすると、動摩擦力のした「仕事」[J]の大きさは?
        2. A点からB点に移動する間の、「重力による位置エネルギー」、「運動エネルギー」、「力学的全エネルギー」の様子をグラフに表せ。








    • 「熱」と「エネルギー」と、「温度」の関係
      • 物体に「熱エネルギー」が加えられると、その物体を構成する粒子の「運動エネルギー」が大きくなって、「温度」が上がる。
      • 加えられた「熱エネルギー」の大きさと、「温度変化」は、比例する。
        「熱エネルギー」と「温度」の関係
        Q=mCt
        • Q[J]:熱量
        • m[kg]:物体の質量
        • C[J/kg/]:比熱
        • t[]:温度変化


    • 「電気的エネルギー」の計算
      • 「電力」とは、単位時間(1秒)あたりに発生する、「電気的エネルギー」のことだ!
      • 「電圧」と「電流」を掛け算すれば、これが計算できる! [kWh](キロワット時)というのを「エネルギー」の単位にしている。
        「電力」=「仕事率」の単位
        [W=V・A=J/s]
        (ワット)
        • [V]:電圧
        • [A]:電流
        • [s]:時間(秒)

      • 「電力」に「時間」をかければ、「エネルギー」になる。ただ、世の中では、「秒」で計算すると小さすぎるので、「時間」を用いて、
        「仕事」の単位
        1[kWh]=1×103×602[J]









    • 「中和」の本質
      • 「酸」から放出された水素イオンと、
      • 「塩基」から放出された水酸化物イオンとが、
      • 1個ずつ結合すると、1個の水分子になる。
      「中和」の本質
      H++OH-→H2O

      • 強い「酸」はたくさんの水素イオンを出すことができる。
      • 強い「塩基」はたくさんの水酸化物イオンを出すことができる。
      • 本当は「電離度」という複雑な問題があるのだが、
        「酸」や「塩基」の濃度が濃ければ、それだけたくさんの水素イオン、水酸化物イオンを出すことができる、と、一応、いえる。
      • たとえば、「酸」に「塩基」を加えていくとき、初めにあった水素イオンと、加えた水酸化物イオンの個数がちょうど同じになり、
        水溶液中にイオンがほとんどなくなった状態が、「中和」である。