- 与えられた連立漸化式は、
- an+1=an+2bn a1=1
- bn+1=an+bn b1=1
行列を用いてかくと、
ここで、
とおくと、
したがって、一般項an,bnは、
- 「固有値」、すなわち、次の式をみたす定数kを求める。
移項して、
一般に、
とすると、
ここでは、
- 「連立1次斉次方程式」の「非自明解」問題
において、(x,y)=(0,0)がこれをみたすのは当然であるから(これを「自明解」という)これ以外の解(「非自明解」)をもつ条件について考える。すなわち、
ただし
・・・(2)
命題『Aが逆行列A-1をもたなければ、(2)は非自明解をもつ』を、背理法によって証明する。
(2)が成立し、かつ、Aの逆行列A-1が存在する、と仮定する。
両辺に左からこれをかけると、
となり
に反する(証明終わり)
- 「固有値」とそれに対応する「固有ベクトル」を計算する
(A-kE)-1が存在しない
すなわち
(a-k)(d-k)-bc=0
k2-(a+d)k-(ad-bc)=0
これを「固有方程式」と呼ぶ。
「ハミルトン・ケーリーの定理」
A2-(a+d)A-(ad-bc)E=0
と係数の並びが同じである。
「固有方程式」はk(固有値)に関する2次方程式であるから、その解のあり方は3通り、
- 2個の異なる実数解
- 重解(実数解)
- 互いに共役な2個の虚数解
このうち、
- I,IIIについては、以下の「対角化」によってn乗が計算できる。
- IIは、独立な「固有ベクトル」が1個しか得られないので、この方法では不可能。「上半三角化」という別の方法を用いる。
ここでは、
(1-k)(1-k)-2=0・・・(1)
k2-2k-1=0
とする(固有値)
(それぞれの固有値に対応する固有ベクトル)
固有ベクトルは一般に「無数に」存在するから、成分が簡単な形になるそれぞれ一つを選んだ。
- 2個の「固有ベクトル」を列ベクトルとして並べた行列P、「固有値」を対角成分としてもつ行列Bに対して、AP=PBを示す
,
すなわち、
,
とおくと、
AP=PB
「固有方程式」(1)が「重解」でない限り、2つの異なる解(虚数解も含む)に対応する「固有ベクトル」は、「1次独立」のはずである。
このとき、Pはかならず、逆行列P-1をもつ。これを両辺に右からかけて、
APP-1=PBP-1
AE=PBP-1
A=PBP-1
したがって、
An=(PBP-1)n=PBP-1PBP-1・・・PBP-1=PBnP-1
- Bのn乗の推定とその証明
に対して、
と推定される。・・・(3)
これを数学的帰納法で証明する。
- n=1のとき、
- n=mのとき、
と仮定する
両辺に右からBをかけて、
(左からかけた場合も同様)
n=m+1のときも成立することが示された
i,iiより、任意の自然数nに対して(3)が成立することが示された
- Anの計算
An=(PBP-1)n=PBP-1PBP-1・・・PBP-1=PBnP-1
,
,
であるから、
したがって、
であるから、