• (1)
    • この2次関数の定義域は全実数であるから、x座標については、いくらでも整数値を選ぶことができる。
    • 整数値xに対応するy座標が整数値となるのは、
      • x2が3の倍数であり、かつ、
      • xが2の倍数であるときである。
    • x2が3の倍数であるならば、xも3の倍数である。
      【証明】
      • 「対偶」:xが3の倍数でないならば、
        1. x=3m+1
        2. x=3m+2
        (ただし、mは整数)
        いずれの場合も、x2は3の倍数ではない。(証明終わり)
      • 「背理法」:x2が3の倍数であり、かつ、xが3の倍数でないと仮定する。
        xが3の倍数でないから、
        1. x=3m+1
        2. x=3m+2
        (ただし、mは整数)
        いずれの場合も、x2は3の倍数であることに矛盾する。(証明終わり)

    • したがって、x座標として、3と2の最小公倍数6の倍数を選べば、y座標も整数となる。
    • 6の倍数は無数に存在するから、この関数のグラフ上には、無限個の格子点が存在する。





  • (2)
    • f(x)=ax2+bxとおく。
    • y=f(x)上に、点O(0,0)以外の格子点A(x1,f(x1)),B(x2,f(x2))が存在するとする。
      ただし、x10  ,  x20  ,  x1x2
      • OA間の平均変化率pは、
      • OB間の平均変化率qは、
      ここで、x1,x2,f(x1),f(x2)は整数であるから、
      p,qはいずれも有理数である。
    • さらに、
      q-p=a(x2-x1)
      から、aは有理数である。
      さらに、p=ax1+bが有理数であることから、bも有理数である。
    • そこで、a,bを、
        ,  
      とおくことができる。
      ただし、m1,m2は自然数、l1は0でない整数、l2は整数。
    • x=m1m2k・・・(ただしkは0でない整数)
      に対して、

      は整数である。すなわち、
      点(m1m2k  ,  f(m1m2k))は格子点である。
    • 0でない整数kは無数に存在するから、したがって、この曲線上に、格子点は無数に存在する。



  • 【教訓】授業中に私が間違えたのは、
    • 「命題」:2点A(x1,f(x1))  ,  B(x2,f(x2))が、格子点であるならば、AB間の平均変化率は有理数である。
    について、「逆」も成立する、と思いこんでしまったからでした。
    • そこで問題です。
      • k , l , m , nが自然数であることは、

        で定義されるpが有理数であるための、。
        1. 必要十分条件である。
        2. 必要条件であるが十分条件ではない。
        3. 十分条件であるが必要条件ではない。
        4. 必要条件でも十分条件でもない。
      • 有理数k、および自然数l , m , nに対して

        で定義されるpが有理数であることは、
        kが整数であるための、。
        1. 必要十分条件である。
        2. 必要条件であるが十分条件ではない。
        3. 十分条件であるが必要条件ではない。
        4. 必要条件でも十分条件でもない。

        答え:c,b


  • 【補充】(3)  a , bは実数で、a0とする。y=ax2+bxのグラフ上に、点(0,0)以外に格子点がただ1つしか存在しなければ、a , bはともに無理数であることを証明せよ。
    また、この逆は成り立つか。成り立てば証明し、成り立たなければ、反例を挙げよ。
    • y=ax2+bx上に、原点以外に2点の格子点が存在すれば、a  ,  bはいずれも有理数であることは、わかった。
      では、原点以外にたった1点しか格子点がなかったとしたら?
    • y=f(x)上に、点O(0,0)以外にただ1点の格子点A(x1,f(x1))が存在するとする。  (ただし、x10)
      • OA間の平均変化率pは、
      • x1  ,  f(x1)は整数であるから、pは有理数である。
        • ここでもしbが有理数であるならば、x1が整数であることから、aも有理数である。
          a,bともに有理数ならば、上の問(2)の結果から、格子点は無数に存在することになり、仮定に反する。
        • そこで、bは無理数である。pが有理数、x1が整数であることから、aも無理数である。

      • 「逆」:a , bがともに無理数(ただしa0)であるときy=ax2+bxのグラフ上に、点(0,0)以外に格子点がただ1つ存在する。
        • 成立しない。
        • 「反例」:
          • 0以外の整数xに対して、

            √2xは無理数、(x+√3)も無理数であるが、はたしてその積も無理数である、と言えるのか?
            • 「有理数」×「有理数」=「有理数」
            • 「有理数」×「無理数」=「無理数」
              だが、
            • 「無理数」×「無理数」=?

          • また、【証明】が必要になった。
            0でない整数xに対して、√2(x+√3)が有理数であると仮定すると、

            なる0でない有理数pが存在することになる。


            √6が無理数であることは、必要ならば(!)証明できるから、右辺は無理数、左辺は有理数であり、矛盾している。
            したがって、0でない整数xに対して、√2(x+√3)は無理数である。
          • よって、0以外のいかなる整数xに対しても、yは無理数である。すなわち、この曲線上に格子点は、原点以外に1点も存在しない。

      • まとめると、
        aby=f(x)上の
        原点以外の格子点
        有理数有理数
        • 無数に存在
        無理数無理数
        • ただ1点存在
          または、
        • 存在しない
        有理数無理数
        • 存在しない(*)
        無理数有理数
      • ところで、(*)の「証明」は?
        • (2)より、y=f(x)上に、原点以外に2点の異なる格子点が存在すれば、a , bはともに有理数である。
        • (3)より、y=f(x)上に、原点以外にただ1点の格子点しか存在しないとすれば、a , bはともに無理数である。
        • まとめると、
          (2)+(3):y=f(x)上に、原点以外に少なくとも1点の格子点が存在すれば、a , bは、
          • ともに有理数であるか、または、
          • ともに無理数である。

          その「対偶」:a , bのうち一方が有理数、他方が無理数であるとすれば、
          y=f(x)上には、原点以外に格子点は存在しない。

      • もっと直接に、
        1. aが有理数、bが無理数のとき:0以外の整数xに対して、
          ax2は有理数、bxは無理数、その和は無理数、
        2. aが無理数、bが有理数のとき:0以外の整数xに対して、
          ax2は無理数、bxは有理数、その和は無理数、
        いずれの場合も、f(x)はつねに無理数。よって、原点以外に格子点は存在しない。