• 漸化式
    an+1=3an-bn+2      a1=1
    bn+1=4an-2bn+4    b1=1


    すなわち

    を解きたい。
  • まず、

    に対して、Anを求める。


    • 「固有値」、「固有ベクトル」を求める。

      すなわち

      このような列ベクトル(x,y)が存在する必要十分条件は、(A-kE)が逆行列をもたない(非正則である)ことである。

      (3-k)(-2-k)-(-1)4=0
      (k-3)(k+2)+4=0
      k2-k-2=0
      (k-2)(k+1)=0
      k=2,-1  (固有値)

    • k1=2に対して、

      すなわち、
      x1-y1=0
      これをみたすx1,y1は無数に存在するが、それらのうち、

      とする。

    • k2=-1に対して、

      すなわち、
      4x2-y2=0
      これをみたすx2,y2は無数に存在するが、それらのうち、

      とする。

    • したがって、

      すなわち、

      行列P,Bを以下のように定めると、

      AP=PB
      ここに、固有ベクトル(x1,y1),(x2,y2)は、互いに1次独立であるから、Pは逆行列P-1をもつ。
      A=PBP-1
      したがって、
      An=PBnP-1


      ここで、対角行列Bのn乗は容易に計算できて、


    • 具体的に計算すると、

      であるから、



  • 次に、
    1. 任意の2次元ベクトルは、1次独立な2個のベクトルの1次結合として一意的に表現できること
    2. 異なる2個の固有値に対応する固有ベクトルは互いに1次独立であること
    から、

    をみたす(u,v)を一組、定めることができる。
    u+v=2
    u+4v=4
    u=4/3  v=2/3

  • 与えられた漸化式は、

    と書けることになるから、これを次のように変形できれば、

    次のように、一般項が得られるであろう。



    そこで、このような定数s,tを定めよう。

    であるから、



    したがって、
    s(1-k1)=u    t(1-k2)=v


  • 具体的に計算すると、
    (a1,b1)=(1,1)    (k1,k1)=(2,-1)    (x1,y1)=(1,1)    (x2,y2)=(1,4)
    u=4/3  v=2/3
    であるから、




















  • ここでは、「一般解」を得る方法を考えたが、実用的には、単に係数比較を行うだけで、解くことが出来る。
    つまり、次のように列ベクトル(p,q)を仮定して、

    これを、

    と比較し、
    2p-q=-2
    4p-3q=-4
    すなわち、

    こうして、同じ結果が得られる。