その後の、お客人達・・・。
ジェリーとポンが亡くなってからというもの、なんか、気が抜けてしまってね。毎日ジェリーに点滴をしたり薬を飲ませたり、ポンのお尻を拭いたり小屋を掃除したり、とか、そういう「雑事」こそが、彼らが「生き延びる」ため、のみならず、私自身もまた「生き延びる」ための、ただ一つの「手がかり」だったようなわけなので、それがなくなってしまうと、これまた常識人には想像に難いところだろうが、たとえ二十数匹いようが、「健康な」猫達の世話などというものは、ちょろいものであって、砂トイレからうんこを拾い、新聞紙トイレにこびりついたうんこをこそげとって新聞紙を換え、・・・二十数匹もいれば、猫もさまざまであって、砂トイレでうんこがどうしてもできないヤツがいる、そのために用意していたのだが、ジェリーさんも腎臓を患っていたから点滴で注入した水分が、ほとんどそのまま大量のさらさらの尿となって出る。砂トイレでは、彼の足元も掘り崩してしまいかねない勢いなので、具合悪かったのだろう、晩年の彼もまた新聞紙を好んだ。きれい好きなジェリーさんは、猫はたいがいきれい好きだが、新聞紙が濡れているとどこかほかのところ、床の上とかでしてしまったから、いつも気を使った。今は、あまりせかされることもなくなった。

と、いう風に、トイレ掃除、エサや水を換えること、部屋の掃除、犬の散歩などなど、あっさり片付けてしまうと、もうなにもすることもない。で、なんか拍子抜け、これが「ペットロス・シンドローム」なのだろうか?毎年春先、季節の変わり目は、身体がだるくて一日中眠い。多分これは「ウツ」症状なのだけど・・・。

そんなわけで再びお酒も飲み始め、昼間からほろ酔いの自堕落な休日の午後、お隣のそのまた隣の、小学生の時ならぬ悲鳴で目を覚ました。その家はでっかい黒いラブラドール風の犬を飼っているのだが、もちろん小学生よりでかいので、子供が散歩に連れ出したとき、振り切って逃げてしまったらしい。で、賢い犬でちゃんと走って家に帰ってきたものの、とんでもないお土産を咥えていたらしい。

子猫が車にひかれて、動けなくなってうずくまっていた。そこに犬が通りかかり、「獲物」を飼い主に自慢すべくもって帰ってきたのだろう。小学生には手に余る事態だろうから、「大人」が何とかしなきゃいけないだろう?いつも酔っ払ってる、夜しか仕事しない、猫ばっかり飼っている、「不審」な隣人だとしても・・・。

もう夕方だったし、酔っ払ってるから車運転できないし、一晩預かって病院に連れて行く。ジェリーがなくなってから、猫用ミルク切らしていた。ヨーグルトを少々水に溶かして注射器で飲ませると、ちゃんと飲み込む。ポンと同じくらいの傷のように思われたが、自力でものを食べられない状態だったから、だめかも、って思ってたけどね。

レントゲンの結果、やはり背骨が折れていて、今のところ下半身に反射がない。ポンの場合もそうだったが、これは一過性のものである可能性もある。犬のきばの傷から感染の可能性もあるから抗生剤を点滴で注入、入院。

でも、数日で「返品」されてきた。うんこもオシッコも自力でできる。後ろ足は片足は完全に動くし、もう片足も神経が切れているわけではなさそうで、リハビリ次第で、回復も可能、とのこと。で、「クー」ちゃん、って名前にしました。野良丸出しの気質で、それにまぁ、車にひかれた直後に犬に「食われかかる」というとんでもないトラウマ体験をしているわけだから無理もないが、ご飯を差し入れようとしても、お水を換えようとしても、うんこを拾おうとしても、かみつかんばかりのいきおいで「ふぁ〜〜っ!ふぁ〜〜っ!」って威嚇する。頭をなでることもかなわない。リハビリどころじゃない。ま、気長にやりましょう。

で、その数日後、犬の散歩の途中、道路の真ん中でうずくまっている茶トラ。こいつもこの公園の常連だ、時々見たことがある。車にひかれた直後らしい。鼻血が出ているから、頭を打ったのだろう。あぁ、死んじゃうんだろうな・・・。「放置するわけに行かないから・・・」って即座に思う私は、すでに異常なんだろうな、せめてうちで看取ってあげようと、大騒ぎする犬どもをしかりつけつつ、腕に抱えてつれて帰ってきた。

ダンボールに新聞紙を敷き、寝かせる。もちろん「棺おけ」のつもり。頭をなでるとちゃんと反応する。注射器でミルクを飲ませてみると、ちゃんと、飲み込める。しばらく目を離していると、おいおい、寝返りうってるぞ?

三日後、静脈点滴中。ちゃんと、生きているぞ!あごに外傷があることから、やはり頭を打っている可能性はある。むしろ、足などのダメージは少ない。あらあら、私としては「予定外」なんだけど、・・・しょうがない、生き続けてもらいましょう。こうしてゆっくり眺めてみると、どことなくジェリーさんの面影があるのね。で、「ジェリポン」と、命名。

こうして立て続けに、交通事故にあった猫達に引き合わされるのも、ポンちゃんとの縁のなせるワザなんだろう。「介護生活」再開に、なぜか少し「華やいでいる」わたし・・・。
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