さようなら、リンリン

で、冒頭の話に戻る。その日曜日、疲れ切って、二日酔いで、夕方ごろ、空腹の限界に達したのだろう、猫たちが騒ぎ始めてようやく起きだすことができた。リンリンの小屋を見ると、横様に倒れてすでに虫の息だ。なんていうことだ、一番肝心なときに私は、酔っ払って眠りこけていた。昨日から置いてあった餌皿の「子猫、妊娠授乳期の母猫用」の高栄養のドライフードがなくなっているから、リンリンは、数時間前にはちゃんと固形物が食べれたのだ!もっと早く気づいてあげれば、・・・。なんていうことだ!!

倒れたままおしっこをしてしまったのだろう、下半身がぬれている。それもあって体温が下がっているように感じられた。呼吸も心拍もあるけれど、すでに限界のようにも思われた。この数年間に、すでに何度も猫の「いまわの際」に立ち会ったからね。
でも、できる限りのことはしようと思った。もちろん「点滴」しか、ネタはない。リンリンは点滴が大嫌いだったのね、背中に針を刺されると、体力はないのに、それでも全身で抵抗する。針をさしたまま暴れられるととても危険だから、いろいろ工夫した。洗濯ネットに入れてその網目から針をさす、ていうのもやってみた。でも、傷口をアルコール綿で消毒するのが十分にできるかどうかわからないから、お勧めはしない。

ここでも、「点滴ミラクル」に遭遇した。私はほとんどあきらめてたんだよ。ただ、自分が二日酔いで寝とぼけて、飼い猫を死なせてしまった、という罪悪感から解放されるために、すでに死にかけた猫に点滴針をさして「できることはやりました」って善良な飼い主を演じようと、「本能」が命じていたわけね。
リンリンはむっくり起き上がろうとする、体力はないから下半身はヘロヘロで、起き上がろうとしてもすぐ倒れる、でも、起き上がろうとする!はじめて、はらはらと涙が出てきた。こいつ、生きるつもりでいる。

私も、もちろん、生きるつもりだよ!
戻るつづく